1 理想と現実 〜 自分本来のベストを求める
肌のコンディションは私たちのメンタル面で大いに影響しています。コンプレックスが消えて自信がつくと、人と会うことも楽しいし、積極的になることができます。私たちが皮膚の健康にこだわるのは、単に不快な症状を治したい、ということよりも、そうしたメンタルな面での大きな礎になっているからなのかもしれません。
ところで、あなたにとって健康な皮膚とはどんな状態を指すのでしょう。白く、透明感のある肌でしょうか?それとも、少々日に焼けてもトラブルを起こさない強い肌でしょうか?吹き出物ができないような肌でしょうか?
私たちは、とかく「健康な皮膚」と「理想の皮膚」とを混同していることがあります。たとえば、あなたにとっての理想の肌を持つ人が違う人種の人だった場合、その違いが遺伝的な部分に由来するものであれば、どんな努力をしても同じ肌になるのはまず無理です。同じ人種であれば、かなり近くはなりますが、しかし、それでも個人差というのは大きいものです。兄弟、姉妹であっても、皮膚のタイプは異なっていて、まさに千差万別、と言えるのです。皮膚のタイプは個人個人で異なることをまず理解し、そのうえで、まずは自分にとってのベストな状態を目指すべきなのです。
肌のコンディションは私たちのメンタル面で大いに影響しています。コンプレックスが消えて自信がつくと、人と会うことも楽しいし、積極的になることができます。私たちが皮膚の健康にこだわるのは、単に不快な症状を治したい、ということよりも、そうしたメンタルな面での大きな礎になっているからなのかもしれません。
ところで、あなたにとって健康な皮膚とはどんな状態を指すのでしょう。白く、透明感のある肌でしょうか?それとも、少々日に焼けてもトラブルを起こさない強い肌でしょうか?吹き出物ができないような肌でしょうか?
私たちは、とかく「健康な皮膚」と「理想の皮膚」とを混同していることがあります。たとえば、あなたにとっての理想の肌を持つ人が違う人種の人だった場合、その違いが遺伝的な部分に由来するものであれば、どんな努力をしても同じ肌になるのはまず無理です。同じ人種であれば、かなり近くはなりますが、しかし、それでも個人差というのは大きいものです。兄弟、姉妹であっても、皮膚のタイプは異なっていて、まさに千差万別、と言えるのです。皮膚のタイプは個人個人で異なることをまず理解し、そのうえで、まずは自分にとってのベストな状態を目指すべきなのです。
2 皮膚の個人差はどこから
角層の保湿に重要な役割をしているものには、前述しましたように皮脂膜や、角層内部のNMF、細胞間脂質などがあり、スキンケア用品や化粧品のケアでも、これらを補って角層の乾燥を防ぐことが主眼になっています。
しかし、大人の皮膚が乾燥しやすいと言っても、その度合いには差がありますね。たとえば、気温の感じ易さが違うのに比例して、汗のかき易さが人によって異なります。汗をかき易い人や、皮脂が多い人はベタつき感を嫌がる人もいますが、汗や皮脂の出にくい人よりは、肌の保水力が高くなります。
汗や皮脂の分泌量は目に見える違いですので、すぐに差として思い浮かべることができますが、この他に、角層そのものの形成過程でも、人によって違いが見られます。つまり、角層のタンパク質や、NMF、細胞間脂質などの作り方が個人個人で少しずつ異なっていて、それが皮膚の個人差に繋がっているのです。
この差は、すなわち、私たちが両親から引き継いでいる遺伝情報の違いです。この遺伝情報に従って、細胞は生命活動を行うわけですが、生命とは長い歴史を生き抜くために、とにかく、さまざまな試行錯誤をしながら情報を伝えています。しかも、次世代に渡る際には、その都度、両親の情報を半分ずつミックスし、多様性を生むようにしているのです。つまり、私たち、ひとりひとりは、いわば遺伝情報のかけあわせによる試作品である、とも言えるのです。
このかけあわせた情報で生命活動をおこなった結果、表れてくる個人差が、いわゆる「体質」です。皮膚も体質によって、異なっています。
この体質が皮膚組織の形成過程に問題がある場合、たとえば、角層を構成するタンパク質の生成力が弱いとか、また皮膚組織内での細胞の成熟期間中に少ししか保水成分が生成できない人、などは、脆い角層や、乾いた角層しか作れないことになります。近年では、アトピー製皮膚炎患者のうち約25%に、フィラグリンというタンパク質がうまく形成されないパターンが発見された、という研究発表もされていて、しつこい皮膚症状の原因として先天的条件が関わっている可能性もあることが指摘されています。
3 皮膚のコンディションは、栄養状態で左右される
遺伝的な違いが皮膚の違いになることを述べましたが、実は、遺伝的な違いの他に、生活の違いも皮膚の状態に影響を与えます。中でも、栄養状態は皮膚のあり方に大きく反映されます。
角層を構築する角質細胞は、もとは基底膜から生まれますが、基底膜で新しい細胞を生み出すには、栄養や水分が充分に届いていることが必要です。これらは、私たちが食べたものが消化器官で消化吸収され、血流にのって組織まで届けられたものです。コラーゲンやエラスチンなどの、いわゆる支持成分をつくる肝細胞の活動にも栄養が必要です。
この栄養分に、たとえば、アミノ酸が少なければ、皮膚組織の主成分であるタンパク質の合成も少なくなることになります。ビタミンやミネラルは細胞活動にかかわっているため、不足すれば細胞の働きが充分にできないことになり、本来なら生成されるはずのものが生成されないなどの現象が起きます。
皮膚については、何ら問題のない体質を持つ人でも、栄養の不足が原因となって脆い皮膚を作ってしまっている場合があるのです。ですから、困った皮膚症状が表れた場合、まず食生活を見直してみることも必要です。また、それとは逆に充分な栄養があることで、本来なら弱い皮膚しか構築できない体質の人でも、それがカバーされることもあります。皮膚の問題は、体質が大前提にありながら、そこに適当な栄養が与えられているか否かで、症状の有無、あるいはレベルが大きく異なってきます。
4 肌の新陳代謝はホルモンによって、ホルモンは自律神経によって
細胞が生まれるためには、栄養が必要であることを述べましたが、実はもう一つ、重要なものがあります。それは、ホルモンです。ホルモンとは、私たちの体内で生成される物質で、いわば体内の組織や器官を制御するための連絡物質としての働きます。
実は栄養だけが豊富にあっても、皮膚を新しく生み出す基底膜や、組織内の肝細胞は働きません。ホルモンと呼ばれる物質から活動に必要な因子を受け取ることで、はじめて細胞を生み出すための活動を始めるのです。新しい細胞が生まれることで、一番外にある角質は垢となって落ちますから、ホルモンの分泌が細胞の新陳代謝サイクルの直接の起点となっていると言ってもいいでしょう。
ホルモンは、私たちの体に備わる機能を、与えられた環境に適宜対応すべく、その都度コントロールするために分泌されます。しかし、このホルモンもまた、その分泌自体は、別のものにコントロールされています。それが、自律神経です。
自律神経は、私たちの考えでは、どうすることもできない神経組織で不随意神経とも呼ばれ、主に恒常性に関わっています。恒常性とは、体の健康状態を平衡に保とうとするシステムで、活動と修復をしながら、私たちが、遺伝子に組み込まれた「生物としての一生」を全うするのを支えます。
自律神経は、緊張を司る交感神経と、弛緩を司る副交感神経とで構成されていて、互いに相反する状態を支援します。交感神経は、緊張、すなわち、意識をはっきりさせ、思考や活動を活発化させるように働く神経で、そのためのホルモンを分泌して体を制御します。反対に、副交感神経は、弛緩、すなわち、体を休息させ、傷ついたり弱ったりしているところを修復するように働く神経で、やはり、そのためのホルモンを分泌して体を制御します。
私たちの生活は通常、1日のうちに、活動的な時間帯と休息する時間帯があり、それを交互に行い、繰り返しています。これらの強度や長さがバランスよく、またきちんと交互に行われる事で、自律神経の働きも整っていられ、かつ、私たちの生活リズムを支援するように、適宜ホルモンを分泌して支援します。しかし、不規則な生活が続くと、自律神経の働きは弱まり、本来分泌されるはずのホルモンも分泌されないことが起きて、健康に支障が出ることがあります。体をその時々に適したモードにするのを支える自律神経は、同時に体を守る防御システムをも司っているため、免疫の働きにも大きく関わっているのです。
リズムを意識して生活することは、健康な皮膚状態の維持、ひいては体全体の健康の維持に繋がるのです。
5 皮膚は代謝の状況を映す鏡でもある
皮膚は、シールドとしての機能を主とする一方で、汗や皮脂を分泌し、古くなった角質細胞がはがれていく排泄器官としても見る事が出来ます。新陳代謝という生理現象のまさに現場である皮膚は、体内の代謝状況を克明に現わす器官でもあります。
新陳代謝の起点となるのは、新しい細胞の産生です。新しい細胞を産み出すためには、材料となる栄養が必要ですから、食事の状況が深く関わります。また、新陳代謝サイクルが円滑にまわるには、栄養だけでなく、自律神経のバランスや、ホルモン分泌なども影響してします。新しい細胞が基底層で生まれ、やがて角質細胞となり、最表面に出てはがれ落ちて行くまで、だいたい28日とされていて、これが次々行われています。このサイクルが停滞し、古い角質細胞がいつまでも皮膚の上にあると、乾燥し、固い肌となり、シワの原因となります。また、加齢によって、皮膚組織の細胞数や細胞活動を促進する成長因子の産生が減ることも、乾燥やバリア機能低下の原因となり、皮膚全体としての老化へと繋がって行きます。
若々しい肌でいるには、新しい細胞を作り出し、古い細胞がはがれていくサイクル、すなわち「新陳代謝サイクル」を、どの過程においても滞りなく、回し続ける必要があります。先に述べたように、新陳代謝サイクルには、栄養状態とホルモン分泌が大きく関わってきます。栄養を摂り込むための「食事」と、ホルモン分泌に深く関わる「睡眠」を充分に取れる生活をしていれば、基本的には皮膚の健康を保つことができるはずです。
しかし、忙しい毎日をこなす現代人の多くは、この基本的な条件を満たすことが出来ていないばかりか、この他にも多くの肌ストレスを受けているのです。 6 健康な皮膚をつくる3つの要素
では、ここで、健康な皮膚でいるための大前提をまとめてみようと思います。
自律神経のバランスがとれていて、ホルモンの分泌に問題がなく、細胞の新陳代謝や皮脂分泌などがスムーズに行われていること。
栄養がバランスよく、また量も充分に摂れていて、皮膚組織にきちんと届いていること。
これらが揃っていれば、基本的には皮膚は健康な状態に保たれるはずです。また、この状態こそが、あなたの皮膚の「ベストな状態」であるとも言えます。
では、この大前提を支えるために、私たちが生活のなかで気をつけるポイントをまとめてみましょう。
まずは、栄養、すなわち「食生活」です。次に、ホルモン分泌を司る自律神経のリズムを崩さないように生活すること。それも、出来れば、昼、夜のそれぞれの適した行動をきちんと行うことが望ましいのです。昼には「活動」を、夜には「睡眠」を行う、ということです。次の項では、これらについてさらに詳しくご紹介します。
<まとめ>
・食事
皮膚は体の一部。きちんと材料が揃わないと、健康な皮膚は出来上がらない。
・睡眠
新しい皮膚細胞の産生をする時間。新陳代謝を促す。
・適度な運動
自律神経バランスの均衡を支援する。さらにストレスを緩和する働きがある。
2015.10.02.改訂