1 栄養摂取は体全体のことを考えて 

ここからは、栄養についてご紹介しますが、口から取り入れた栄養は、まず生命の維持そのものに使われます。つまり、「生きる」ために使われるのです。私たちの細胞の活動には、エネルギーとしてATPという物質が必要です。これは、どの器官、組織の細胞でもそうです。ATPは、いわゆる3大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)から生成されますから、これらは生命維持のためにどうしても不可欠だと言えます。中でも、糖質からはたくさんのATPを得られるため、とても効率のよいATP源であると言えます。そのうえで、さらに、それらの細胞が組織のなかで担う働きを行うために、必要な栄養素があります。それがビタミンやミネラルです。単に「生きる」ためだけに、ここまででいわゆる5大栄養素のすべてが登場したことになります。
皮膚を美しくしたい、という願望の前に、この「生きる」ために必要な要素がきちんと揃っていることが必要なのです。
皮膚は体の一部ですから、皮膚だけを美しくすることは無理なのです。



2 各国で研究される食事バランス

食事の栄養バランスは、現在、私たちの健康と寿命に大きく関わる要素として、非常に注目されています。世界各国で、医学的な根拠をもとにしながら、文化的な背景も含めて、健康を維持するためのバランスのよい食生活について研究されています。

日本では、食事バランスガイドというわかりやすい指針が示されており、まずはこれを参考に、あなたの食生活をはかってみるといいでしょう。

食事バランスガイド_イラスト

食事バランスガイドは、一日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかが一目でわかる食事の目安です。主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の五グループの食品を組み合わせて、バランスよくとれるよう、コマにたとえてそれぞれの適量をイラストでわかりやすく示しています。


※食事バランスガイドは、農林水産省、厚生労働省によって作成された指針です。
詳しくはhttp://www.maff.go.jp/j/balance_guide/をご確認ください。




コラム:いろいろな食事の基準

食事バランスガイドを参考にすることで、自分の1日の食生活に何が足りなかったのか、あるいは、何を摂りすぎているのか、に気付くことができます。とくに、一人暮らしの方や、外食が多い方は、バランスガイドを念頭においてメニューを選択すれば、かなり理想の食事ができるでしょう。

しかし、料理を提供する側に立つと、バランスガイドだけでは、体によい食事作りの指標としては足りないことに気付きます。料理に用いる食材には、様々な属性があり、それを上手に組み合わせたり、適した調理、調味をすることでより食べ易く、また体に取り込みやすくできます。よい食事作りには、食材や栄養素の属性に関する知識も欠かせないのです。
この知識に、先ほどのバランスガイドが示すような量やバランスの知識をプラスして、はじめて、料理を提供する側に活かせる基準となります。

料理を担当する人にとって便利な指標としては、女子栄養大学が提唱する「四群点数法」が挙げられるのではないでしょうか。これは食材を4つのグループに分け、それぞれのグループごとに、全体の食事量のなかでの比率を定め、用意する、というものです。
「四群点数法」における、区分と比率はこのようなものです。
第1群:卵、乳・乳製品(主にカルシウムの補給源となる食材)
第2群:魚介、肉、豆・豆製品
(主にタンパク質、ミネラルの補給源となる食材)
第3群:野菜、芋、果物
(主にビタミン、ミネラルの補給源となる食材)
第4群:穀物、油脂、砂糖、嗜好品(主にエネルギーの補給源となる食材)
これらの比率を、3:3:3:11の比率で食事を摂ると、理想的である、としています。

この他にも食事に関する指標はたくさんあります。たとえば、学校などで給食や食事摂取の説明をする際には、「三色食品群」が多く使用されています。これは、食材のもつ働きに応じて、子供にもわかりやすく、グループごとの属性と色を組み合わせて説明しています。この他に、古くからの食事の知恵を伝えているものもあります。禅宗のお寺などでは食材の色を基準にグループにわけて説明しているものもあります。

食事の知恵は、場所や時代、また誰が対象かによって様々に培われてきましたが、どの指標も「いかに様々な食材をバランスよく摂るか」を目指していることがわかりますね。


2015.10.02改訂