睡眠は、傷ついた細胞を修復し、新しい細胞を生み出す時間

皮膚に必要な要素が揃ったところで、これらの要素を血流循環にのせ、必要な時に必要なだけ各部に届け、不要なものは排除する機構がきちんと働かなければ、効果はでてきません。
また、活動によって、私たちの体の細胞はストレスをうけたり、傷つけられることもあります。これらについても適宜対応しなければなりません。

私たちの体内に仕込まれている体内時計は、日中に行う生命活動と、これによるダメージを修復する夜間の休息活動の両方を、適した分量で行えるよう、コントロールしようとしています。体内時計は、地球上のほぼすべての生物の細胞にあるとされていて、この作用を逸脱して生きることはできません。

さて、この体内時計が司るのが、自律神経です。自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の二種類があり、それぞれが体の興奮と休息を司ります。
体内時計の支配による自律神経バランスは、私たちの生命活動の根幹を握る、重要かつ、私たちの意志ではコントロールできない神経機構です。
このバランスをとりながら、私たちは必要とされる時に、力を発揮し、必要でないときは、休むように設計されているのです。

皮膚細胞の産生は、このうち、おもに修復活動を行う夜間に行われます。副交感神経が優位の状態のときに分泌されるホルモンの作用により、皮膚の基底層で新しい細胞が作られます。

ホルモンの分泌は、自律神経のバランスによってその量がきまるため、ホルモン分泌自体も、本来私たちの直接のコントロールは受けないことになります。

睡眠は、行動様式としては、「休息」になりますが、次の活動期に向けた重要な準備活動のひとつなのです。
私たちは、その分泌そのものや量を自らコントロールはできませんが、しかし、「睡眠をとる」という行動を行うことが、この内分泌を起こすことになりますから、努めて、睡眠をとるよう心がける必要があるわけです。

睡眠とは「疲れたから」というよりも、「次の活動のために」という、きわめてポジティブな行動だといえるのです。

夜間のホルモン分泌が行われ、新しい細胞が生まれた皮膚組織は、自然に古い角質細胞がはがれ、美しい皮膚へと生まれ変わっているのです。

【皮膚に大切な睡眠中のホルモン】
・成長ホルモン:細胞の代謝を活発化させ肌の生まれ変わりをサポートする
・コルチゾル:主に血圧に関与するホルモン。皮膚細胞の修復もおこなう。


コラム 光に支配されている体内時計

体内時計ですが、その起源は古く、生命の発生の時代までさかのぼる、といわれています。
この体内時計は、もともと深海で生まれた細胞が、生存エリアを拡大するにあたり、細胞内の情報物質であるDNAを守るため、太陽の有害な紫外線を避けるためのデータを得たことから発生したと言われています。

また、光合成を行う細胞に依存するようになると、今度は光がさしている時に生産される栄養分をもとめて行動しなければならなくなるわけです。それが、やがて、日中の行動様式と、夜間の行動様式を区別するもとになったかもしれません。

とにかく、原始生物時代からある、この体内時計は、今を生きる私たちの体にも備わり、恒常性の維持に大きく関わっています。

私たちの体の体内時計は、主に時計遺伝子によって発現します。その大元は、私たちの目の奥にある視床下部にいるわけですが、この目の奥、という場所がキーになります。つまり、目からうける光の強さによって、体内時計を操作しようとしているわけです。

体内時計は今でも、光に対しての警戒をゆるめず、私たちを守ろうとしているのかもしれません。
 

女性イラスト第1章_2