脂肪酸スキンケア

オイルの使い方しだいで、年齢肌、トラブル肌を効果的に改善させることができます。

第1章:皮膚の構造としくみ

1:皮膚と皮膚バリアの機能と構造
 (1)皮膚の機能
 (2)皮膚や付属器官のしくみ
 (3)見えないバリア 皮脂膜
 [コラム]皮膚常在菌の存在


2:乾燥にさらされながら、柔軟であることも求められる角層
 (1)水分を守る城壁
 (2)強固な壁として、死んだ細胞を利用する
 (3)角層の柔軟性を支えるファクター


3:皮膚の状態を左右するもの
 (1)肌が受ける様々なリスクについて知っておく
 (2)化粧品の作用は、角層まで
 (3)スキンケア商品は効果的かもしれないが、リスクもある


第2章:肌の美しさ〜新陳代謝サイクル

1:健康な肌のために必要なこと
 (1)理想と現実 〜 自分本来のベストを求める
 (2)皮膚の個人差はどこから
 (3)皮膚のコンディションは、栄養状態で左右される
 (4)肌の新陳代謝はホルモンによって、ホルモンは自律神経によって
 (5)皮膚は代謝の状況を映す鏡でもある
 (6)健康な皮膚をつくる3つの要素


2:円滑な新陳代謝を支える3つ要
 ①栄養
  (1)栄養摂取は体全体のことを考えて
  (2)各国で研究される食事バランス
  [コラム]いろいろな食事の基準

 ②睡眠
  睡眠は、傷ついた細胞を修復し、新しい細胞を生み出す時間
  [コラム]光に支配されている体内時計

 ③活動
  日中の活動と運動
  [コラム]スポーツのストレス緩和効果

第3章:皮膚のための栄養講座

 皮膚に効果的に栄養摂取のポイント
 (1)血行不良の改善と抗酸化作用 〜 ビタミンE
 (2)睡眠を支え、ホルモン分泌を促す 〜 トリプトファン、グリシン、ビタミンB6
 (3)丈夫な角層をつくる 〜 アミノ酸、ビタミンA、ビタミンC、亜鉛
 (4)バリア機能を強化 〜 脂質、抗酸化物質
 (5)神経の過敏な反応を抑える 〜 マグネシウム、腸内細菌、ビタミンB群
 [コラム]人はそれぞれ、同じ栄養をとっても、同じ生合成が行われるわけではない


第4章:脂肪酸スキンケア 〜概論

 1:スキンケアで目指すもの

 2:肌タイプを見極める
  (1)皮膚や皮脂膜は、体の部分によって異なる
  (2)適したスキンケア材に出遭うことが重要
  (3)スキンケアに迷ったら、シンプルに立ち返ってみる
  (4)肌質を見極める
  (5)肌タイプは大きく4タイプ

 3:スキンケア商品選びに疲れたら、シンプルなスキンケアをしてみる
   簡単ローションのレシピ

 4:乾燥肌を応援するスキンケア
  (1)スキンケアの基本・皮脂膜の強化にはうってつけの素材
  (2)アブラにもいろいろ
  (3)アロマテラピーの精油とは
  (4)石油と石炭
  (5)石油由来製品の是非

 5:油脂によるスキンケアは「似た成分を補う」ということ


第5章:脂肪酸スキンケア 〜基礎編:オイル選び


第5章:脂肪酸スキンケア 〜実践編

 1:保湿
  (1)オレイン酸
  (2)リノール酸
  (3)パルミチン酸

 2:トラブル
  (1)αリノレン酸
  (2)γリノレン酸

 3:老化
  パルミトレイン酸

 4:抗菌
  (1)ラウリン酸
  (2)カプリル酸
  [コラム]皮膚本来の抗菌力を引き出すビタミンDの力

 5:その他の知っておきたい脂肪酸
  (1)プニカ酸
  (2)ピノレン酸(オクタデカトリエン酸)
  (2)エルシン酸(エルカ酸)
  [コラム]脂肪酸ではなく、ワックスを多量に含む特殊なオイル:ホホバオイル



簡単オイルパック:方法とレシピ
 (1)簡単パッチテスト
 (2)おすすめ!お風呂あがりのフェイスオイルパック
 (3)慣れてきたら、エッセンシャルオイルを足してみるのもGood!

近年、オイルスキンケアによる抗菌を私は非常に注目してきたのですが、最近、とくに気になっているのが、私たちの皮膚組織、いえ、体の各部でも活躍している抗菌物質があるのですが、それが「抗菌ペプチド」と呼ばれるものです。

生物の体には、たいてい、命を守るための機能が備わっています。そういった機能を「免疫機能」としてひとまとめに言ったりしますが、人間ほどの複雑なしくみをもっていない生物でも、他者の侵略を防ぐしくみはもっています。そういったしくみの中でも、最も原始的なものに、抗菌物質の生成、分泌があります。命の最小単位である、細胞自体にそういった、他者の侵入をこばむ物質「抗菌ペプチド」をつくる機能があるのです。どういう物質を作るかは、その生命体や細胞によって異なりますが、人間の体内で主に活躍している抗菌ペプチドには「α-ディフェンシン(
defensin)」「β-ディフェンシン」「カテリシジン(Cathelicidin)」「ダームシジン(dermcidin)」などがあります。

このうち、皮膚の抗菌を司るのが、β-ディフェンシン、カテリシジン、ダームシジンで、皮膚組織のなかで形成され、汗や皮脂にまざって皮膚上に分泌され、皮膚に付着した有害な菌を殺しています。
この物質を作る力が、先天的に、あるいは
老化やストレスなどで小さくなったりすると、抗菌ペプチドが充分に皮膚上にない状態になり、付着した有害な菌や微生物が繁殖、皮膚炎などの原因となるのでは、と考えられているのです。事実、アトピー性皮膚炎などの人の皮膚には抗菌ペプチドの分泌が充分でないことが確認されています。

抗菌ペプチドをいかに増やし、分泌させるかにおいては、発汗に伴うため、まずは運動が推奨されますが、もともとの生成力が弱い場合には、抗菌ペプチドを作るために必要な栄養が食事に足りているかを見ます。抗菌ペプチドを作り出すには、充分な量の脂質や蛋白質が必要ですが、近年、現代人に不足がみられ、かつ抗菌ペプチドの生成にも関わっているものに、ビタミンDがあります。

ビタミンDは唯一、人体で作り出せるビタミンとしても知られていますが、近年の研究では、このビタミンD量が不足している人が多くみられ、骨や皮膚の形成に影響しているのでは、と考えられています。また、外からビタミンDを皮膚に与えたところ、皮膚の免疫機能が復活した、という報告もあります。アトピー性皮膚炎においても、ビタミンDの外用効果が認められた、という報告もあります。

ビタミンDは脂溶性のビタミンで、オイルのなかには、ビタミンDを多く含んだものもあります。
たとえば、スイートアーモンドオイルや、バオバブオイル、オリーブオイル などが挙げられます。 肌本来の抗菌力を上げたい、と思ったら、こうしたオイルを使って、ビタミンDの補充うぃすることで、抗菌ペプチド量の向上が期待できるかもしれません。

カプリル酸(C8H16O2):飽和脂肪酸

カプリル酸



カンジダ症の原因菌となる、カンジダ菌を抑える効果があるとして、注目されている。
多く含むオイル:ココナッツオイル、母乳、バター、など


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